NPO テクノシップ会報 No.3

Technoship   キッド

2003. 6 発行  WEB 版



この子らを世の光に

理事長 冨岡 逹夫

 発達障害といわれる子等の中にも「ひっそり」と、また「ひたむき」に生きている子がいる。その姿は時として人々に感動を与える。
 先般、ある講演会で会社を経営している講師が話の中で一つの事例を紹介した。職場実習に来たある養護学校生徒の真面目な勤務振りが、社風を一新させたということであった。その時、私の脳裏をよぎったのは標題の「この子らを世の光に」という言葉であった。
 戦後より知的障害教育・福祉のメッカとして今も多くの人々が訪れている近江学園という施設が滋賀県にある。この言葉はそこの初代であった故糸賀一雄氏の言葉である。それは「この子らに世の光を」あてるのではなく、「この子らを世の光に」して世の中を明るくしようという考え方で、ここには知的障害教育・福祉に対する発想の転換がある。
 さて、新聞でも紹介されている「美沙のポエム」の記事の中にも「重い病気の子がこんなに明るく、楽しく生きている。私も生きていてよかった」というお年寄りの喜びの声がある。美沙さんが世の光として輝いているということである。又私共の身近には某養護学校から今年只一人就職したHさんがいる、彼女が居るだけで教室は明るく、人の心がなごむのである。学力的には「超低空飛行」だが、彼女を採用した会社の担当者の気持ちが分かるような気がする。
 教育や福祉に従事している人は、子等の成長や発達を願って支援活動を行っているが、それは単に社会自立や日常生活能力の向上を目ざすだけでは不充分だということを、この言葉は私共に示唆している。それでは親、教師、指導等支援に携わる者はどうしたらよいのだろうか。ここでもまた「個性」が登場する。そしてそれを光り輝かせるのは……。
 優れた感性と英知を兼備した支援者の存在。ますますそれが求められる時代になったということであろう。





テクノシップに関わって、あれこれ

石井 喜代子

 私はこの春、港区の六本木中学校の心障学級を最後に退職しました。退職後、何をするか、漠然としたイメージしか持っていませんでした。畑仕事でもやって、家にいる卒業生を呼ぼうかなとか、それにはまず農家に弟子入りしなければとか。そのために土地を捜したり、研修先を捜している時に児嶋さんにテクノで土地が手にはいるかもしれないとお電話を頂き、早速、青山教室を訪問しました。
 土地の話はうまくまとまらなかったのですが、冨岡先生の「明日から来てくれる?」の一言で次の日から毎週木曜日に通うことになりました。在職中、テクノに通う生徒は学校ではやれないことをやれると朝から楽しみにしていました。「今日はテクノです。」一日に何度も聞かされていましたが、実際どんなことをやっているのか、はっきりしない部分もありました。
 今、木曜日にみえている方たちは、高校、あるいは高等部を卒業し、就労をめざしています。午前中は国語や数学を学習し、午後はさをり織りを中心に作業を行っています。作業をやりながら働くことの大切さ等を話題にしています。すぐにでも就労したい人、近いうちに就労したい人、気持ちはあるけれど自信のない人、できれば現状のままでいたい人、反応は様々です。半年、あるいは一年と目安をもって就労できていくといいなと思っています。
 午前の学習では漢字の学習や漢検の準備と個別的な学習もしていますが、区報とか新聞を読み合っています。読解力はもちろんですが、少しでも社会に目を向けてほしいし、同じ課題をみんなで考え、意見を言い合うことも楽しいことです。算数は四則の計算の復習のようなことをやっていますが、日常生活で使う単位とか、お金、少数、パーセント等を徐々にやっていこうと思います。そうすればさをり織りがどの位、織れたのか、糸を何グラム使ったのか、何cmの巾の布を織るには経糸が何本必要かもわかってくるでしょう。午後のさをり織りはみんな意欲をもって取り組んでいます。緯糸の色の選び方、組み合わせ方にそれぞれの個性が出ていて、みていて楽しみです。思いもかけない糸同士を合わせて織り始めると布がイキイキし始め「お主、なかなかやるナ。」と感心してしまいます。
経糸の綜絖通し、箴通しは根気のいる仕事です。経糸もどんなものを織ろうか、自分でイメージし、糸を選び、整経し、張れるようになるともっともっとさをり織りを楽しめると思います。  学校を卒業してしまうと運動する機会が減ります。働くためにも、若者たちに体力(筋力)をつける時間をとれたらと思っています。
 これからは小学生ともつき合うことになると思います。お子様のどの部分を援助したらいいのか、親御さんと話合いながらすすめたいと思います。社会性なのか、言語性なのか、ある教科なのか、学習する姿勢なのか、自信なのか、精神的な安定なのか……課題が見えてくれば指導内容も決まってきます。
 あれやこれや、まとまりのないことを書きましたが、これからよろしくお願いします。





こどもを中心に、周りの大人たちが連携をつくる必要性

佐藤 由利佳

 私には、長男ケイトの小学校入学時から声を出し続けて来た事がある。それは「学生ボランティアを小中学校に導入する」事だ。普通学級に導入するだけでなく、特殊学級にも子どもの人数に合わせて数人導入すれば、障がいを持つ子どもと持たない子どもの自然な交流も計りやすい。校内の子ども達も年齢が近い学生がいるだけで生き生きとしてくる事は、既に導入済みの各自治体の発表でも明らかだ。担任も楽な上に、学生にも単位を与えるなどすれば、皆に利がある。
 ケイトは現在5年生。入学当初から普通学級に在籍している。昨年6月からテクノシップに通うようになり、富岡先生と日本の教育システムの展望についてなど、お話をする機会を重ねているうち、先生が「ケイト君のクラスに学生ボランティアを介入させ、その効果を日本におけるインクルージョンに結びつけよう」という提案をして下さった。校長先生や担任の先生に面会し説明して下さり、了解を得られ、まず休み時間の介入という形で学生に入ってもらい、社会性の発達を促す事を目的に進めることになった。
 親である私のみが学校に要望を伝えているだけではこんな風にうまく進んで行かなかっただろう。子どもの教育に携わっているプロフェッショナルな方が、学校と親との間に入ってこそ、スムーズに事が運ぶのだと実感している。しかも富岡先生は養護学校の校長をという地位にあった方だ。障がいを持つ子どもたちと常に現場で関わっていらした方が間に入るという安心感が、校長先生の心を動かしたのだと思う。私もできる限り、担任の先生と意志疎通をさせた。子どもと学校の近くにいる親にできる事は連携を気持ち良くスムーズに進める事だと、これも実感。
今年の3月から最初は昼休み、それも週に一度という短い時間での学生の介入であったが、効果は目に見えて出て来た。その学生はケイトもよく知っている学生だったので、休み時間にクラス全員で行うゲームにも安心して参加している様子が見られた。クラスの子ども達も、まあ学生に良くなつく事!実にイイ顔をする子ども達。そんな友達の様子に、ケイトも触発されたようで、学生がいない休み時間でもクラスの友達と遊ぶ場面が見られるようになったと、校長先生が私に伝えて下さった。学校に好意的に受けとめてもらえる事がどれ程親を安心させるものであろうか。
文章中「安心」という言葉をしばしば出したが、親も子も学校も安心して日々の暮らしを送るために、学校と親と一緒に連携を取りながら、子どもを育てて行く機関が今後の日本には必要になってくるのではないだろうかと思いから出た言葉である。その役割をテクノシップが「学校生活の支援」として担って行く方向に発展してくれれば、と小学生を持つ親として心から思う。





 亜里子さんの詩です。(下記をクリック!)

新しい窓で開きます





テクノシップでパソコンでローマ字をやるのが、すきです。
ゲームもやります。
大こし先生と、かんじをやっています。
むずかしいけど、がんばります。
しゅくだいもあります。
大こし先生は2しゅうかんに1かいしかきません。
ほかのすいようびは、ちがう先生がきてくれます。
そのときには、本をよんだり、さんすうのプリントも
やっています。
プリントはむずかしいです。できるとうれしいです。
九九もおぼえました。いっぱいがんばりました。

まどか

各教室の活動状況(青山教室)

 四月からメンバーが増えています。最近、こんな場面に出会いました。目盛りや長さの勉強をしている時、問題集にある文章題に苦戦していた女の子二人が、休憩時間におしゃべりしています。一人の女の子はいつもはとても無口です。
 「昨日のニュース見た?こわかったよ。」「何が?」「人が道で刺されたんだって、ナイフでだよ、17cmだって。」    *二人で物差しの目盛りを数えている
「小さいね。」「短いね。家の包丁は何cmかな。」「いろいろだよ。」「ナイフで人が死んじゃうんだ。都会はこわいね。」「こわいかなあ、いろいろだよ。」「気をつけようね。」……  おしゃべりはまだ続きますが、ある事柄を算数、国語、社会、家族などと分野で区切らずに、自分のものにしていく時間を持っているのか、よくわかります。
 自分の意見を伝える、他者に応える、相手と協調するなど、テクノに通う人達が苦手と思っている力は、こんなやりとりの積み重ねから芽を出してゆくのかな、と思いました。

中村 京子

新しい指導ボランティアのご紹介
・ 阿部 靖子さん(月)
・ 津嶋 成子さん(水)
・ 岡崎 範子さん(金)





福利厚生部便り

第一回カラオケ会

 3月21日春分の日。要望の強かったのカラオケ会をみなとコミュニティーハウスにおいて、9名が参加して行ないました。1時から4時半過ぎまで、ひとり5-6曲、たっぷり唄って、大満足でした。途中のおやつタイムには、港社協からプレゼントのカップ麺やお菓子をいただきました。カラオケ装置を貸して下さったNPO小笠原文化記念協会に感謝します。


ボウリング部会

 平成14年度は、毎月欠かさず例会を開く事ができ、「第2日曜はボウリング」と言うのがすっかり定着した感がありました。また、OBだけでなく、現役教室生の小学生の参加も見られるようになり一層賑やかになりました。同時に、大学生ボランティアが各レーンに一人ずつ入って一緒にプレーしてくれるようになって、活気あふれた例会となりました。子供達にも大好評で、そのお蔭か、5月の例会では2ゲーム合計357点(214、143)という凄い記録も出ました。
次回7月13日は第75回大会です。トロフィーめざしてがんばって下さい。


フリーマーケットに出店

 5月25日(日)千駄ヶ谷の明治公園でフリーマーケットに初参加しました。
絶好の日和に恵まれ、予想以上の収益をあげることができました。
献品してくださった方々、早朝からお手伝いして下さった方々、そして、何かとご助力して下さったザボランティア‘95のみなさんに深く御礼申し上げます。

 秋にも、バザーやフリーマーケットを 予定しています
また売れそうな品物を集めておいて 下さい
手作り品も大歓迎!!

新入生歓迎と就職を祝う会

 6月8日(日)総会の日、新習志野マジッククラブのお二人を再びお迎えして、簡単なマジックを教えて頂いたり、不思議なマジックショーを楽しませて頂きました。子供達は 午前の講習で習い覚えたばかりのマジックを前に出て披露しました。その後、富岡先生からご挨拶と新入生紹介があり、企業就職した子どもたちにお祝いの図書券が贈られました。


サマーキャンプ

 7月20日~21日。 群馬県碓氷峠鉄道文化むらとその周辺を探訪します。
フィンランド風ログキャビンに泊まり、露天風呂やBBQ、屋内スポーツも楽しむ予定です。 5月28日に実踏してきました。とってもいいところでしたよ。


ホームページ 独自ドメイン取得

 http://www.npo-technoship.com となります。HPの充実を図るため、容量も増やしました。





予告=尾高ファミリーによるチャリティコンサート

   世界的に有名な指揮者の尾高忠明さんとピアニストの遵子夫人、義姉で メゾソプラノの綾子さんの錚々たる尾高ファミリーによるテクノシップ 支援の為のチャリティコンサートを、10月5日(日)夜 麻布区民ホールで開催予定です。
 他ではめったに聴けない忠明さんご夫妻によるピアノ連弾や、「ピーター と狼」など、気楽に楽しめるプログラムを予定しています。詳細が決まり 次第またご連絡致しますので、楽しみにしていて下さい。



NPO テクノシップ 平成14年度(第2期)通常総会報告

 下記に掲げる全ての議案が審議され満場一致で承認され、内閣府に報告書として提出しました。 総会終了後、就職を祝う会と新入生歓迎会を開催し、お互いの親睦を図りますますの発展を誓い合いました。


* 日 時 平成15年6月8日(日) 11:00〜16:00
* 場 所 みなとコミュニティハウス 第1、2集会室
* 主な内容
*  通常総会 11:00〜12:00
@ 第1号議案 平成14年度事業報告
A 第2号議案 平成14年度決算報告
B 第3号議案 平成15年度事業計画(案)
C 第4号議案 平成15年度予算(案)
D その他議案 理事長代行について、会計業務、会員の明確化等
*  就職を祝う会と新入生歓迎会 13:00〜16:00
以上

事務局 安中 健一





ご寄付

 この度、本会青山教室の生徒、中井亜里子さんのお父様(稔様)より、多大なご寄付を頂戴いたしました。稔様のご母堂志げ様は去る5月7日、天寿(94歳)を全うされました。ご母堂は生前孫の亜里子さんをこよなく愛しておられていたこと、これが今回のご寄付に到ったことと伺いました。大変有難く謹んでお礼申し上げますと共に、本誌上を借りてお母様のご冥福を祈念いたしたいと存じます。
 本会は、現在北青山の「みなとコミュニティハウス」を本部として支援活動を行っていますが、常々自前の施設を持ちたいと考えておりましたし、生徒の増加に対応するため指導員も充実させたいと願っておりました。
 そんな折のお申し出、有難くお受けさせて戴きました。志げ様のご遺志でもあり、有効に活用させていただきたいと存じます。ありがとうございました。

理事長 冨岡 逹夫

事務局だより

●次の方々から励ましとご寄付を戴きました。  本当にありがとうございました。(敬称省略、順不同)
 鶴 正代、児嶋 みち子、西沢 敏子、弘 伸子、三木元子、白根開善学校
●新規に会員又は、入会された方々のご紹介。(敬称省略、順不同)
 小林 まどか、橋口 礼輝、松浦 恵太、真舘 佐和、高橋 和也、野本 淳史





編集後記

   紫陽花が色とりどりに町を飾る季節です。NPO テクノシップも第2期の通常総会を終え、また新たな季節をむかえます。新しいメンバーも加わり、いろんなパワーが重なって、今までとはまた違ったつぼみが膨らむ気配を感じます。このつぼみを大切にして大輪の花になるよう力を合わせていきたいものです。そんな気配を、今回のキッドで感じていただけたらと…願っています。尚、住所などの変更は、すみやかにご連絡ください。




内閣府認証  特定非営利活動法人 テクノシップ

本部 青山教室 〒107-0061 東京都港区北青山1-6-3 B1 みなとコミニティハウス内 電話 03-3796-3309
支部 所沢教室 〒359-0035 埼玉県所沢市西新井町2-5              電話 0429-94-1544
     芝教室 〒105-0014 東京都港区芝1-8-23  港区立障害保健福祉センター内  ヒューマンぷらざ

東京都港区教育委員会社会教育関係団体登録
東京都港区社会福祉協議会ボランティアセンター団体登録
埼玉県所沢市社会福祉協議会登録団体


このページの一番上へ

2002.12 発行 NO.2 へ